エアギターで腕が攣る お前はお前の踊りをおどれ

無題

8/8 4:14

第一子が生まれた。なんと愛しい命。命が誕生するということは凄まじいことだ。気を張っていないとすぐに涙が出そうになる。

まずはここまで頑張り抜いた妻に心からの感謝と労いを送りたい。妊娠初期のつわりから相当にしんどい思いをしているのを間近で見てきており、特に分娩室に入るまでの陣痛では何度も挫けそうになっているのをただただ声をかけて背中をさすってあげるばかりだったので、出産後の妻の「やりきった!」という晴れやかな表情を見て、号泣してしまった。本当によく頑張った。あまりに号泣っぷりに妻を爆笑させてしまい「傷口が広がるから泣き止んでくれ」と頼まれる始末であった。

水曜の夜に「陣痛が始まったかもしれない」という連絡を受け、木曜の始発で帰省。そこから一旦陣痛は落ち着いたものの、金曜の午前3時ごろに再び陣痛。相当しんどい様子だったので、本陣痛の可能性を考慮して病院に行き入院するも、分娩までは至らず、午後3時過ぎに一度退院。この時の妻の「こんなにしんどいのにまだ本番じゃないのか」という悲痛の声は忘れられない。

自宅で引き続き陣痛と闘い、24時ごろに破水の可能性で再度病院へ向かう。子宮口も十分開いていたので、いよいよ分娩室に入った。妻の精神的な余裕はほとんど残っていなかったので、ここからは邪魔をしないようにと妻から退出を促され、病院のエレベーターホールで午前3時ごろまで待機し、3:23に出産の報告を受けた。まず生まれたばかりの娘と対面し、あまりのかわいさに感動した。両親ゆずりの肌の白さと、俺ゆずりの髪のブロンド(俺も生まれた時は色素が薄すぎて髪の毛がブロンドだったらしい)。鼻は完全に俺そっくり。そして冒頭に戻る。

木曜日からほとんどまとまった睡眠を取れておらず、心身かなり疲れ果てていたが、そんなものをいとも容易く凌駕する命の輝きと人の底力の凄みがあった。

早朝に病院を出るととても綺麗な朝焼けの空が広がっていた。彼女のこれからに幸せが溢れていることを願うばかり。

 

8/14 15:21

仕事の引き継ぎの都合で、育休に入れるのは来週の水曜からになった。先日無事妻と娘が退院し、実家で賑やかな生活をスタートさせている。早く合流したくてしかたがない。

HUGENの「MAYA」という楽曲が非常に良かった。娘が生まれた日に作ったらしい楽曲が、自分に響くのなんの。

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8/20 2:40

昨日から育児休暇を取り、帰省。到着後、早速妻からミルク、おむつ替え、沐浴の指導を受け、交代で娘のお世話をする体制を整える。まだ2週間も経っていないが、既に妻の所作は洗練されており、さすがだなと感心するばかり。

夜中の3時間おきのミルクは思った以上に大変だ。特に0:00-3:00の間が一番娘も元気な時間帯で全く寝つかない。妻のお腹の中で特に元気に動き回っていたのもこの時間だったなと懐かしくなりながら、うつらうつらしながら子守りをしている。

しかし娘、可愛すぎる。誰彼かまわず「うちの娘、かわいいでしょう!?」と言って周りたいくらいかわいい。毎日見せてくれる顔が変わる。その全てが可愛い。父でこれなら母はいかほどか。

娘が生まれた報告を会社の同僚したところ、「うちの娘は5歳1ヶ月で18kgだけど、いまだに抱っこをしながら、小さい時にももっと抱っこしておけばよかったなと思います」と話してくれた。5歳で抱っこしていてもまだまだ抱っこしたりないと思えるなんて、愛に溢れているなと思った。

 

 

無題

7/29 14:07

先日実家に帰省した際、実家から歯磨き粉を拝借して持って帰ったのだが、この歯磨き粉がとにかく不味い。磨くたびに新鮮に不味く、笑ってしまう。毎日のお笑いがひとつ増えた点だけが評価できる。あとは「歯茎を活性化し、歯周組織の回復を助ける」効果があるらしい。それも評価できなくはないが、正直この不味さには釣り合っていない。折れた歯が一瞬で復活するとか、歯が一瞬で真っ白になるとかしてくれないと割に合わない。

見た目にはなんらおかしなところはなく、半透明な研磨剤である。口に入れて数秒は清涼感のあるミント系の香りがする。これもなんらおかしいところはない。その真価は歯磨き粉が舌に触れた瞬間から発揮される。塩味なのである。塩歯磨き粉は一時期流行ったような記憶があるが、ミントと合わせるのはあまりにも無謀すぎる。ミント系の香料にも関わらず、下に触れた瞬間清涼感の全くない塩味が口全体に広がり、ミント系の香料と全くもって息のあっていないド下手クソなダンスを口内で踊り始めるのだ。まさか世の中にはお笑いになる「不味さ」が存在するとは思ってもみなかった。

今では面白半分で使い切るまでその不味さに苦しんでやろうと思っている。毎日の歯磨きに刺激を求める方はぜひ。

https://www.weltecnet.co.jp/products/concool/reperio/

 

無題

7/16 23:58

割を食って食って食って食って食いまくった仕事で帰るのが遅くなり、ほうぼうのていで辿り着いた近所のむなしで定食を頼んだ。割では腹は満たない。すっからかんの心に怒りが満ちるのみである。ブチギレてブチギレてブチギレてブチギレてブチギレてまいります。

ひとっこひとりいなくなった職場でひとり怒号を上げて、肩すらもおおいに怒らせて帰りながら、いつもの「怒りの正当性について考える」をやった。

「割を食う」というのは、自分だけが損をしているということなのだが、果たして損をしているのは自分だけなのだろうか?

俺はこれまでこの「割を食っている」という感覚のまま他者にぶつかっていき、痛い目を見て自分自身の腹落ちもないままに焼け野原が広がるということを何度も繰り返してきた。自分が割を食っていると思う時、たいてい相手も割を食っているのである。割を食い合っていると分け前が減る一方である。こういう時は被害者気取りせず、素直な気持ちで自分の所感を伝えたのちに、相手の所感もしっかり聞くというのが一番うまくいく。

 

などとすぐに考えられれば穏やかなものだが、、、と思いながらたいへんに美味そうな焼肉定食にありついたので、一旦はすべてよしとする。ご飯を食って食って食って食って食ってまいります。

無題

3/12 21:33

アジカンのドラムの“音”が好きな曲を聴き漁る。フレーズではなく、録音されている音そのものの話である。「真冬のダンス」「ホームタウン」「ライジングサン」「おかえりジョニー」……この辺りの楽曲のドラムはかなり立体的な音になっていて、楽曲の中での存在感が大きいにも関わらず、他の楽器とのアンサンブルも絶妙でたまらない。特に新しいイヤフォンやスピーカーを買った際は必ず「ライジングサン」で聴き比べをするのが通例になっている。アコースティックギターの質感、ベースの音の丸み、ヴォーカルのくっきりとした録音、すべてが完璧なバランスで聴こえてくる。




仕事で自分の成果(だと俺は思っている)をまるっと持っていかれる事案が発生し、ここ数週間ずっとそのことを引きずっている。この感覚は知っている。これはこれまでの人生で何度か経験してきた“挫折”というやつのひとつだな、とうらめしく思っている。

当初はこの案件に関わったほとんど全ての人間にうらみつらみを向けていたが、色々と状況が進んでいくにつれ、それぞれの人間にそれぞれの事情と考えがあることが分かってきて、関係者各位に短絡的にぶつからなくてよかった、と思った。もし短絡的に憎悪を表出していたら、後から発覚してきた事情によってバツが悪くなって、今こうして自分のマイナスな感情に対して真摯に向き合うことができなかったと思う。

ここ最近は「感情を大事にしよう(感情と理性の天秤を少しだけ感情に傾けるように意識しよう)」という標語を掲げて生きている。これは俺自身の感情を大切にするためというよりは、他者の感情を大切にするために、まず自分の感情を大切にしよう、というところから出発している。この順番は自分の中で大事なところである。

感情を大事にするにあたって、先ずは論理的なあれこれより、「自分はどうしたかったのか、どうしてほしかったのか」を考えてみたところ、「諸々の状況を鑑みれば、自分の手柄がよそに持っていかれることは、全体の利益を考えれば妥当な結論なので同意するが、そこに至るまでの自分のかけた工程は評価されたいし、感謝されたい」というのが俺の感情(?)であった。それをある程度ロジカルにまとめて上司に意見してみたところ、各所にかけあってなんやかんやとフォローしてくれたおかげで、ある一定の感謝は各所より感じられるようになった。やはり黙っているとよくない。そんなこんなで多少状況はマシになったが、へこんだ気持ちが完全に元に戻ることはなかった。

というのも、俺は仕事とは思った以上に人と人の繋がりで保っていて、それはしばしば単純な利益を超えることがある、とここ数年で学んでいたのだが、ここにきてそれを180度ひっくり返されたように思ったのだ。このひっくり返りこそが挫折である。なんだい、これだけやっておきながら結局は利益かい!こんな手のひら返しをされるくらいなら最初から頑張らなければよかったやい!とひねくれた気持ちになりつつ、とはいえまあ会社というものは利益あってのなんとやらだしな、というか、これはここまで俺がやってきたからこそ生まれた会社の利益でもあるし、俺の評価には繋がらなくとも会社のためにはなっているのは間違いないからまあいいか、と持ち直す俺もいつつ、だけどやっぱりちょっとくらい感謝してくれてもいいんじゃないの!これじゃあ会社はよくても俺は正当な評価を得られず損じゃないか、とふて腐れる俺が最終的に残る。これは感情を大事にできているのか?

今書いていて、俺はとても損をしている気持ちになっているということが分かった。う〜ん、人間は“人と比べて”自分が損をしていることが本当に嫌いなんだな。これは自分が損をしていることをどう受け入れるのかという問題だったのか。

そんなこんなでふて腐れながらも、漫画『ハイパーインフレーション』の中で、金のために平気で人を裏切りまくるグレシャムというキャラクターが「人生を懸けた計画が失敗するなんて べつに普通のことではないか」と言っていたことを思い出し、このままふて腐れていても現状はよくならないなと思い、次なる成果のための一手を考え始めたところ、なかなか良い計画が新たに生まれた。やはりタダで転ぶのは性に合わない。当面はこいつを成し遂げることをモチベーションにしよう、と自分の中で目的地をセットして、ようやく今回の件に踏ん切りをつけられそうな気がしてきた。たかだか俺の今回の頑張りは数年程度のものじゃないか、執着しても仕方ないし、なんなら今立てている計画も水泡に帰するかもしれない。

今年は気負うのを意識的にやめてみようと思う。

 

 

 

 

無題

2/12 24:16

ライター仕事の後、帰れるか帰れないかのギリギリのラインにおいて、絶妙にリスクヘッジしきれていない終電の一本前の電車で帰路に着いている。

chelmicoのRachelのエッセイを読んで、今日のことを書き留めておこうと思い立ったことに加え、エッセイの中でぐでんぐでんになっていたRachelと同じような酔っ払い達が電車内でこれまたぐでんぐでんになっているので、彼らから目を背けるいい口実になるという理由で今、この文章を打っている。

今日は良い日だった。いいライブを観て、久々に会う人と沢山話をして、初めて会う人とも沢山話をすることができた。が、しかし、俺が一方的に話し過ぎた気がする。なんというか、ポジティブな感情に身を任せて捲し立て過ぎたような気がする。あまりよくなかったかもしれない。特に初めて会った人達に対して。なんかコイツ話通じないやべえやつかも、と思われたかもしれない。

ここ最近、感情をあまり抑制しないようにしていたところ、感情が溢れ過ぎてよく分からないことになっている。理性と感情のシーソーゲームが俺の人生における一生の苦難である。長い間理性に傾き過ぎたシーソーを感情側に傾けてみたところ、バランスを崩している。そんな状況だ。その結果の話し過ぎ、という気がしてきた。

飲酒行為(行為表現をRachelに倣ってみる)をやめて随分経つが、アルコールによってブーストしていた社交時のアドレナリンを、今はジンジャーエールと自己暗示だけでこなしているのだが、これがアルコールより悪さをしている可能性はないだろうか。アルコールは閾値を超えれば気絶するか寝るか吐くかのいずれかの結末を迎えるより他ない訳だが、ジンジャーエールはともかく、自己暗示には暗示が解けた後、今まさにしているように、祭りの後の、いや後の祭りの反省が待ち受けている。

29歳にもなって(と書いて今日打ち上げの席で自己紹介をした際に自分の年齢を間違えていたことに気づいた。1歳サバを読んだ)、いまだにこんなことを考えては文字に起こしているのもどうかと思いつつ、やめるとそれはそれで予後が悪い気もする。

 

2/21 21:05

8バンドほど出演する長尺のライブイベントを観に行った。8バンドもいれば流石に玉石混交といった具合だが、良い演奏をしていたバンドは軒並みギターが良い仕事をしていた。いや、俺がそもそもバンドの音を聴く中でギターへの意識の比重が大きすぎるだけなのだが。

この日の良いプレイをしていたギタリストは、一様にフィードバックの扱い方が上手かった。フィードバックは風のようなものだという話を友人や後輩にはたま〜にするのだが、理解してもらえた試しがない。

 

2/22 19:29

明日の自分の頑張りを信じて累々の仕事を残し、退勤。ここ最近の仕事に関する疲労とストレスはなかなかに看過できない。今日はもうしっかり腰を据えて休む。

先日oasisのジャージを着て出かけたところ、いたるところでスタイリングを褒められた。敬遠していたスタイルも、いざやってみると案外馴染むものである。

 

 

無題

1/7 14:47

先日2025年のナイスアルバムのまとめをアップした。毎年の振り返りを兼ねて高校生の頃から始めて、恐らく11年目になる。

毎年いち音楽好きとして純粋にいいと思ったものを30枚〜40枚ほどチョイスし、そこから絞っていくという作業をしているが、これまではそこからの編集の部分で作為的な部分が多かった。「俺はいっぱい聴いているんだぜ」「センスのあるチョイスをするんだぜ」という雑念があったように思う。

そんな雑念に知ってか知らずか影響され、発売月やジャンルのバランス、世間的な知名度などを考慮して編集していたところが年々自分の中で引っかかってきていた。

今年はそんな雑念の大部分を取っ払って、純粋にいち音楽好きとして気に入ったもの、さらにその上でレコメンドしたいと思えるものにグッとフォーカスできた気がする。実際コメントを書く際の筆の迷いが随分と少なかったことに加えて、Apple Musicのリプレイ機能で確認できるアルバムの上位チャートとほぼ変わらない結果に落ち着いた(Bon Iverとdownyも入れたかったが、年末にリリースされたアルバムに良いものが多すぎた。ジャケットのコラージュの都合18枚というチョイスのキリがよかったのでカットしてしまったところを見るに、完全には雑念を振り切れていない)。

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カッコつけたくなってしまうところをグッと堪えて、勇気を出してありのままを曝け出す方が面白いのかもしれない(カッコつけない、というカッコつけ)。自意識からはどうしたって逃れられない(カッコつけからは逃れられない)ので、その時その時の自分にとってベストなカッコつけ方をし続けるしかない。

 

先日読んだオモコロの「 緊急開催!おまえらインプットどうやってるんだ座談会」の記事(2024年4月ごろの記事)で、「年間どれくらいの作品に触れているか?」というお題に対して、「数を数えているのは醒める」という話があった。

緊急開催!おまえらインプットどうやってるんだ座談会 | オモコロ

数を増やすことを目的にすると色々とおかしなことになりそうなので、あまり気にしない方がいいよな、と頷きつつも、俺は律儀に毎年何枚のアルバムを聴いたかをカウントしている。

当初は冒頭に述べたような見栄っ張りが理由だったが、ずっと続けているうちに、自分の音楽に対するモチベーションの変遷を具体的に知ることができるだけでなく、ある種のペースメーカーにもなっており、非常にいい習慣になっている(ちなみにペースメーカーというのは、数が少ないからと言っていそいそと聴く枚数を増やすわけではなく、なぜ減っているのかの理由を考えて対処するということ。数を気にして数をこなすのは手段が目的化してしまっているので、推奨できない)。

ただ、見栄っ張りでも数をこなしたことで知見は間違いなく広がったし、耳も鍛えられて、今の仕事に十分活きている。とりあえずは自分自身のキャパシティを増やすために数にこだわるのも悪くないのかもしれない(それ一辺倒になるとマズいが)。

今年は大きく生活が変わりそうなので、一体どんな音楽生活になるか全く予想がつかないが、可能な限りの良い音楽を聴いていたい。

 

2025年ナイスアルバム

2025年に聴いたナイスアルバムをまとめました。選盤基準は2025年にリリースされたアルバム、EP(ベスト盤、ライブアルバムは除外)。

洋楽邦楽問わず、リリース順に記載しています。

配信されているアルバムから曲を抜粋したプレイリストはこちら。今回ストリーミングなしのアルバムも複数あります(ぶどうジュース、computer fight、Nikoん)。

 

Apple Music

‎FoolishSaItoの2025年ナイスアルバム - Apple Music

Spotify

2025年ナイスアルバム - playlist by FoolishSaIto | Spotify

 


2/26 エスキベル/Sines

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前作のEP『Childhood(発達) - EP』が非常に素晴らしい作品で、そこから夢中になっていた 2017年結成、東京のロックバンドによる2ndアルバム。高校生の頃に結成しているとのことなので、キャリアは長いものの、まだまだ若いバンド。

毛利安寿(fromステレオガール)、奥中康一郎(fromえんぷてい)の客演含め、今のロックシーンとのリンクも感じさせる。

深く深く思考を巡らせて練り上げられたであろうコンセプチュアルな歌詞と音。アコースティックギターのプレーンな響きとエレキギターサウンドの絡み合いが全編通して美しく響くオルタナティブ・ロック。

聴くたびに自分自身とこのアルバムとの位相が変わり続け、新たな音と詞の解釈が見つかる、面白い一枚。

ライヴではシンセサイザー等も駆使し、より多角的なアプローチで音を探求しており、これからのより一層の深化も楽しみでたまらない。

 


2/26 水平線/Howling - EP

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今年一番ライヴを観に行った、京都の4人組ロックバンドによるEP。

ツインヴォーカル&ギターと90’sブリティッシュ・ロックをベースとするウォームでレンジの広いサウンドが味わい深い。フジファブリックくるりも感じる。

穏やかなアルペジオとツインヴォーカルのコーラスが心地よいミドルナンバー「シリウス」から幕を開ける今作は、ジャケット写真の反射光のように、思わず目を細めてしまうような懐かしく、淡く、切ない音で満ちている。京都のバンドはなぜかこの類のノスタルジアを持っているバンドが多い気がする。

 


2/28 Hope Tala/Hope Handwritten

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ジャマイカ系の父親とイギリス、アイルランド系の母親をルーツに持つSSWの1stアルバム。

ネオソウル、R&Bボサノヴァをベースに、スモーキーで甘い歌声で切なくポエティックな詞を歌い上げる。ミレニアルR&B〜ネオソウルテイストなミッドナンバー「Thank Goodness」〜低音ボイスのラップがスパイスとなる「Survival」の流れが特にお気に入り。

 


3/28 Maya Delilah/The Long Way Round

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ブルーノートより、新世代の英ギタリスト/ヴォーカリスト、マヤ・デライラのファーストアルバム。

優しいフィンガータッチのギタープレイ(フレージングにはデレク・トラックスジョン・メイヤーからのインスピレーションを強く感じる!)と、マイルドな歌声が兎にも角にも魅力。アウトロにかけての甘美かつドラマティックなギターソロが聴きごたえ抜群の「Begin Again」、コリー・ヘンリーの客演が終盤で冴え渡るインストナンバー「Jeffery(Feat. Cory Henry)」、グルーヴィなリズムセクションとホーン隊によるファンキーなナンバー「Squeeze」などなど楽曲の幅も広く、今後が非常に楽しみなアーティストの1人。

 


4/4 Momma/Welcome to My Blue Sky

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アメリカはブルックリンのインディーロックバンド。

今年のシューゲイザー/オルタナアルバムベスト。「I Want You (Fever)」のスライサーをかけたようなエフェクティブなギターとマイブラ奏法で優勝を確信。新しい地平を拓こうとする気概を感じて勝手に涙ぐんでしまった。女性ツインヴォーカルによるコーラスワークスも秀逸。表題曲の「Welcome to My Blue Sky」は一点アコースティックギターがメインのミッドナンバーだが、絶妙なコード感の違和感とサビのメロの気持ちよさがクセになる。

 


4/9 ぶどうジュース/ぶどうジュース

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2024年結成の東京のロックバンドによる1stアルバム。

ザ・ゆら帝グルーヴの「自意識ブレイクダウン」、ファンキーなビートを前面に押し出した「バナナ」、泣きのファジーなギターソロが痺れる「メイクラブ」、ロックンロール全開の「グミなガム」、ソングライティング力が遺憾なく発揮されている歌心とギターがクライマックス「おかえりなさい」、ラストはパンチのあるカッティングSFライクな「2250」、、、アルバムを通しての腹を揺さぶるドラムとベースのグルーヴ、味わい深いギターをガブ飲みできる至高の一枚。

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4/23 No Buses/NB2

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なんやかんや2019年のファーストのリリースからずっと追っているNo Buses。

今作は明らかにギアがガチンと何段階か深く入っている。日本語を日本語らしからぬ様相で歌う今作のアティチュードには、サザンともGRAPEVINEのそれとも違う独特のムードがある。ギターのリフのポストロック感はAmerican FootballとRadioheadの二点間のまだ存在しないフィールドを探すかのような、試行錯誤の発明か(時折発作のように暴れ出す歪んだサウンドもたまらない)。初期のガレージロック、インディーロックの指向性からここまで音を探求し、変遷を続けていくバンドに最大限の拍手を送りたい。怪作かつ快作。

 


5/14 星野源/Gen

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星野源7年ぶりのアルバム。

J-POPの極致となった前作「POP VIRUS」のリリース後、ネオソウル、R&Bを志向したサウンドでグッとディープな世界に潜り込んでいた彼の集大成とも言えるような、非常に深度のある一枚。ルイス・コール、サム・ゲンデル、サム・ウィルクス、イ・ヨンジ他海外ミュージシャンの多数の客演や、数多くのタイアップなど話題に事欠かないが、全16曲、純粋に曲がどれも素晴らしい。

サウンドはもちろん、今作では詞が特に刺さった。愛を描きながらも、常に底にある諦観、それでもともがき続けることの泥臭い美しさ。

「Why」のサビの“消えてゆくのに なぜ ただ 忘れたくない思い出を増やすのだろう ほら 終わりは 未来だ”というフレーズの中だけで、諦観も愛も悲しみも希望も、全てが丁寧に織り込まれている。

 


6/13 Subsonic Eye/Singapore Dreaming

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リリースの度に選んでいる気がするが、リリースされるアルバムが毎回とてもよい。もう書くことが同じになってしまっている、、、

(以下今年寄稿したアジア音楽のネット記事から引用)

トップシェルフからリリース、シンガポールのインディーロックバンドSubsonic Eyeによる5thアルバム。シンガポールにもアツい音楽シーンあり! Sobs、motifsなど、インディーロック、ドリームポップ、シューゲイザーの優れたバンドがディグればディグるほど見つかる。

そんな中でもSubsonic Eyeは特筆すべきバンドのひとつ。シューゲイザーといえば、いわゆる〈マイブラ奏法〉と呼ばれるような、ギターのアームを用いながらコードストロークを行うことで、ギターの音をベンドさせたり、轟音で文字通りフロアを〈揺らし〉たり、〈揺れ〉というものに一家言あるもの。

このバンドはその〈揺れ〉を歌で表現している。マレー語訛りの英語で、マレー語特有のピッチ感をボーカルのメロディラインに援用しており、歌自体をベンドしているのである。それによって、轟音、耽美的なコーラス、ギターのアーミング、エフェクターによるトーンの揺れに収束しがちなジャンルの閉塞感を打ち破ることに成功している。インディーロックのフォーマットにありながら、どこまでもエキゾチックでワクワクさせてくれるバンドである。

 


7/4 ELIO/Autonomy

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ウェルシュ・カナディアンのSSWによる2ndアルバム。

全体を通してシンプルなビート、アコースティックギターが爽やかに響くチェンバーポップ集。打ち込みのトラックの軽やかさがクセになる「Saturday Night」、韻の踏み方がクレバーで心地よい「Sugar, baby」などなど、肩の力が抜けたさっぱりとした聴き心地の曲が詰まったアルバム。疲れた心を優しく撫でてくれるような作品はやはり手元にモノとして置いておきたくなる。

 


7/11 Wet Leg/moisturizer

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ドミノ・レコーズよりリリース、イギリスのインディー・ロックバンドによる2ndアルバム。

引き算の美学が冴え渡るバンドサウンドで、よく捻くれ、これまたよくキャッチーな歌をローテンションで歌い上げる。

前半の「catch the fist」、後半の「pillow talk」〜「don’t speak」でも顕著だが、しっかりとギターが楽曲の骨を作っている点が嬉しい。

 


8/6 Old Shoe’s/NEW SHOES

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2025年結成の東京のバンド。

全体的にカントリー、フォークテイストなカラッとしたサウンド。バンド名にもなっている楽曲「オールドシューズ」は人生を旅に喩え、友としての靴と日々を生きることを見つめた詞が秀逸。どの曲も詞が良く、人生の悲しみを抱きながらもしかと未来を見据えている言葉がじんわりと沁み入る。録音・ミックスも自分たちで行なっているとのことだが、非常に素晴らしい仕上がり。歌がグッと映えている。

 


9/24 Nikoん/fragile Report

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個人的な今年度のナンバーワンアーティスト。

リリース前から地方に移住して、そこでとにかくライヴをしまくってセールスを行うという、超絶インファイトスタイル。関西移住編の時にライヴを観に行って、ブチ抜かれました。そしてリリース後は47都道府県を巡るツアーを敢行。しかも今作「fragile report」に封入されているシリアルで、何とチケット代無料でライヴを観ることができるという。徹底的なまでに「ライヴ」にこだわった姿勢が一貫していて、最高にカッコいい。

音源もライヴ感がすごい。一曲目に雑踏のような音が入っていて、そこからシームレスに楽器が鳴り始めるので、自然と外界から隔離されて、気づけば彼らの音に釘付けにされている。

ダンサブルで重厚なビート、トム・モレロばりのひりつく金属質なギター、生身の歌声、壊れる寸前のような、胸を抉るリリック。

ぜひ、アルバムを聴いて、とにかくライヴに行っていただきたい!そんなバンド。

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9/26 Christone “Kingfish” Ingram/Hard Road

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同世代のブルースギタリストではD.K. Harrellのアルバムも今年リリースで、個人的にはブルース熱が再燃した年だった。今回はキングフィッシュのこのアルバムを選びたい。

D.K. HarrellがB.B. Kingのフォロワーだとすると、キングフィッシュは風体こそB.B. Kingだが、マディ・ウォーターズ、ジミヘンフォロワーといったところか。加えてキングフィッシュはネオソウル的なフレージングも使いこなしており、ブルースの枠組みを果敢に拡張している。今作においても、これまでのハードで重ためのロック寄りのサウンドからメロウなR&Bにもアプローチして裾野を広げつつも、最後はど真ん中のデルタブルースできっちり締めるところも好感が持てる。

 


10/17 They Are Gutting a Body of Water/LOTTO

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フィラデルフィアアヴァンギャルド/シューゲイザーバンドの4枚目のアルバム。

ヘヴィでエクスペリメンタルなノイズとダウナーなメロディが昨今の日本のトレンドのブライトなシューゲイザーサウンドと対照的で、むしろニューウェーブ、ゴシックロックから派生してきた起源を考えると、シューゲイザーの本質はこういったダークサイドにあるよな、と感じた。ディストーションモジュレーションのコントラストが心地良い「sour diesel」、「trainers」といった前半から、「american food」ではヒップホップのスクラッチサウンドも取り込んでいたりと、クラシックとコンテンポラリーのバランス感が絶妙。

 


12/3 ゴリラ祭ーズ/The Drifter

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バンド名だけ見れば、完全に学生の悪ふざけ青春ロックバンドだが、実際のところはトクマルシューゴ大橋トリオあたりが好きな人にオススメしたいチェンバー・ポップ・バンド。そんなゴリラ祭ーズが覚醒した。

これまでインストメインの楽曲をリリースしていたゴリラ祭ーズが全編ヴォーカルありのアルバムを発表。古賀のヴォーカルがあまりにも、良い。歌の力が完全に楽曲をリードしている。彼の包容力のある暖かな歌声がゴリラ祭ーズの室内楽サウンドに合うのなんの。

飾らない言葉を並べた歌詞も好印象。個人的にはアルバムの終盤を飾るタイトル曲「The Drifters」が白眉。

 


12/24 computer fight/a tension

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Studio REIMEIでのセッション動画を観て完全に撃ち抜かれた、ポストパンク/アヴァンギャルドバンドによるEP。

ZAZEN BOYZ+トリプルファイヤー(ただしユーモア抜き)+Gang of Fourといった様相のポストパンク/アヴァンギャルドバンド。つまりキンッキンに尖っている。コンピューターを素手で殴りつけて破壊する勢いのポストパンクぶり。金属質なギターリフと捲し立てるように内省的でありながらポリティカルなリリックを吐き出すヴォーカル、血の気の多い変拍子とパンキッシュな猪突猛進ビートを刻み分けるベースとドラム。個人的には「enlightenment」が特にお気に入り。機械的変拍子のリフに乗せて滔々と歌われる“今僕らが見ている景色は 偉人たちが残した現在”というリリック。乾いた生に虚しく響く啓蒙の言葉。しかし虚しさだけでなく、一縷の希望を感じてしまうのはなぜだろうか。

音源も十分最高だが、ライヴも超ド級。音が気に入ったら是非ライヴにも足を運んでみてほしい。

 


12/24 Laura day romance/合歓る

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2部作で構成された渾身のアルバム(1部作は2/5リリース)。

恥ずかしながら名前はかねてより知っていたものの、なぜか聞かずにいたバンドのひとつ。今年の夏にフェスでのライター仕事の際に一緒になったライターの方がこのバンドのシングルリリースの際のインタビューをされており、その方から非常に魅力的なプレゼン(ライヴでの音作りの完成度の高さと音楽性の尋常ならざる追求っぷり)を受けたことでまんまと興味が出て前編のアルバムを聴いてみたところ、まあなんとも素晴らしい作品で、一聴したその勢いでワンマンライヴのチケットも取ってしまったくらいには射抜かれた。

アンニュイなヴォーカルとギターポップをベースとしつつも、実験的なサウンドとビートを果敢に盛り込んでおり、このポップネスとアヴァンギャルドのバランス感が非常に好み(ほんのわずかにアヴァンギャルド傾いている危うさが最高。ライヴでもその姿勢がしっかりと出ていて、ライヴを観ながら何度ガッツポーズをしたことか)。

前編ではラストの「渚で会いましょう on the beach」のビートのスイッチングの妙、後編では「ライター lighter」のイントロでのトリッピーなパーカッションからの透き通るようなヴォーカル・セクションへの流れるような繋ぎと、「ランニング・イン・ザ・ダークrunning in the dark」での疾走感溢れるビートの裏で暗く蠢く揺れ系のエフェクト・サウンドが特にお気に入り。

余談だが、妻がローラを聴いて「木村カエラみたいな平成感あるね」と言っていて、思わず膝を打った。

 


あとがき

2025年は6,184曲、865枚のアルバムを聴いた(Apple Musicのリプレイ機能で算出)。曲数は去年より微増(+178曲)、アルバム数は減(▲74枚)。

今年は盤を買ったものの、積ん読ならぬ積ん聴くを増やしてしまったのが悔しい。いつぞや上司が「盤を買っても聞けずに溜まっていっちゃうんだよね」と言っていたのに対して信じられない!買ったらすぐ聴きたいだろう!と思っていたのが、いつの間にか同じことをやっている。なるほど、買って安心しちゃうんですね。今ならよく分かります。

仕事面では念願のライター仕事が広がりを見せ、各所で文章を書かせていただける機会に恵まれたことに加えて、12月はラジオにも出演させてもらった。案外べしゃりも面白く、今後はもう少し色んな方面に足を伸ばせていけたらと思う。

好きなこと(音楽を聴くこと)を仕事にしてそろそろ10年近くになる。「可能な限りの良い音楽を聴いて死にたい」という人生命題は相も変わらず、音楽を聴いていることがそのまま仕事に活かせるということのありがたみを年々感じるばかりである。このまま気持ちの良い音楽を聴き続けて、流れるように墓へダイブしたい(天寿を全うして)。

 

 

 

以下は今回書ききれなかったナイスアルバム。

Loaded Honey/Love Made Trees

Mei Simones/Animaru

luv/Already

水いらず/水を捨てよ、内へ還ろう

Bedroom June/Bedroom June - EP

The Beths/Straight Line Wa a Lie

Khamari/To Dry a Tear

roi bob/POOL - EP

Alfa Mist/Roulette

Royel Ortis/hickey

pami/puffette

サザンオールスターズ/THANK YOU SO MUCH

Seashine/Seashine

downy/第八作品集『無題』

Silas Short/LUSHLAND

梅井美咲/Asleep Above Creatures